メンテナンスについて思うこと

堺市北区新金岡 永山歯科医院 院長の永山です。

前回の投稿から早くも2年が経ってしまいました・・・。

コロナ禍が明けてからの世の中の状況もそうですが、医院を取り巻く状況にもいろんな変化を感じていて、書きたいこともたくさんあるのですが、なかなか重い腰を上げて書くことができずに時間だけが過ぎていってしまっています・・・。

やる気もそれほど起きずもういいかな?、とも思ったりするのですが、先日、「おおっ!」という気づきがあったので、皆さまとシェアしたいと思います。

 

細かくてあまりよく見えないかもしれませんが(あえてそうしていますが)、2016年に初めて来院されたときにはすでに右下の奥から2番目の歯の根がむし歯で折れています。

通常であれば抜歯→前後の歯の詰め物や被せ物を削って外してブリッジ、というところですが、患者さんが残してほしい(というよりは抜くのが怖いの方が強かったかも?)というご希望だったので、他の悪い歯を治療を優先しながら様子を見ていくことにしました。

実際のところは一番奥の歯の根も虫歯になっているのでブリッジもできず、2本抜歯すると入れ歯になってしまう(もちろんインプラントは怖くてできない・・・)ためにやむを得ず残した、という側面もあったかと思います。

ところが、他の悪い歯の治療が終わってもどうしても抜く決心がつかないため、そのままメンテナンス(定期検診)に移行することになりました。

 

ここで、この患者さんの凄いところは、ほぼ10年間真面目に3か月ごとに通われてメンテナンスを継続されたことで、その結果、折れた根は溶けてなくなりながら排出されて、その後も悪い部分の骨は多少は溶けながらも(最低限でとどまっているとも言えると思います)それ以外の部分の骨は全く溶けずに、またその他の部分の虫歯が進行することもなく、お口全体を見ても歯が悪くなる進行が食い止められていることがわかりました!

もちろん通われている中で歯磨きの仕方や食習慣の注意点などを身につけられてきっちりと自己管理されるようになったことが大きい訳ですが、メンテナンスの意味合いとしてとてもわかりやすい結果だなぁ・・・、と思ってとてもうれしく感じた次第です。

 

このように、メンテナンスというのはただお口のお掃除をしてもらいに受け身で通院するのではなくて、やっぱり「歯を残したい!」と患者さんが思って日頃から自分のできることに真面目に取り組むことが大事だということがよくわかります。

そして、その積極性をこちらが感じ取ることでメンテナンスにも力が入って、治療にも予防にも良い影響が出てくるものなんだなぁ・・・、と感じています。

つまり、メンテナンスは歯科医院でばい菌(歯石、プラーク、バイオフィルムなど様々な呼び名がありますが)を除去する「治療」でもあり、患者さんにきれいになった良い状態をお家でも自分で維持してもらえるようなところまで持っていく「反復練習」(ジム&宿題)であったり、お口と体の健康観(専門的な知識)を身につけてもらうための「塾」みたいな役割もあり、なかなか奥が深いものであることがわかってきました。

さらに、歯や口が壊れていく原因は他にもあるので、その辺りをいかに患者さんに実感を持ってわかってもらえるか、そして積極的に取り組む(メンテナンスに通う、行動変容につなげる)ようにもっていくかが次の10年の課題だなぁ・・・、と新たな世界が見えてきました。

幸いこれまでに治していた?、持たせてきた?、患者さんの症例はたくさんあるので、これからの全ての患者さんにあてはまってみんなうまく治せたり良い方向に持っていけるわけではありませんが、少しでもお役に立てるように歯科医院をもっていくことができればいいなぁ・・・、と考えているところです。

 

ということで、ここまで頑張って読み進めてくださった方のために、これまでに僕がメンテナンスについてホームページに書いてきた文章を振り返って見てもらおう(=復習?=塾?、いろいろつながってほしい・・・)と思います。

どこかの文章のパクリやAIに投げて書いてもらったものではなくて、自分がこれまでに勉強して経験してきた得てきたものを自分で考えてまとめた文章なので、それなりに良いことを書いてあると思いますし、難しいですが当院での診察の目標としてこれまでもこれからもずっと変わらないものだとも考えています。

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当院では、小さなお子様からご高齢の方まで幅広い世代の方々を対象に、歯やお口に関するあらゆるお困りごとの解決と健康維持を目標として、スタッフが一丸となって日々診療に取り組んでいます。特に、保存治療(なるべく削らない、歯や神経を抜かない治療)や小児歯科については、大学病院レベルの専門性の高い、安心できる治療を提供できると思います。そして、歯周病治療を診療の基本として、予防歯科(定期検診、歯磨き、フッ素)にも積極的に取り組むことで、虫歯や歯周病の進行を防ぎ、患者さんが一生自分の歯で食べることができ、健康で快適な生活が送れるようになるサポートができればと考えています。 ・・・などについても対応可能なので、まずはご相談ください。患者さんひとりひとりのご希望に対応し、治療に満足していただけるように努力していきますので、どうぞよろしくお願い致します。
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歯医者さんのイメージを、“痛くなったら行く病院”ではなく、“健康管理のためのかかりつけ医”、 に変えたいと考えています。欧米では当たり前の感覚なのですが、残念ながら日本ではまだまだです。予防歯科は痛くない、困っていない方が対象です定期検診を通じてご自身のお口やお体の状態を知って頂き、健康意識をさらに上げてもらえるようにスタッフみんなでサポートしていきます。
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※ 定期検診の効果について(実体験 @堺、本町、大学病院)

・ 正しい歯磨きの習慣と知識を身につけることができます。
→ 根気よく丁寧にアドバイスを繰り返していきます。プラークコントロールにより、むし歯と歯周病になりにくくできます。
・ 生活習慣の改善を目指します(食習慣、健康観、癖など)
→ 知らなかったことに気がつくだけでも、効果は十分にあります。専門的なアプローチによって、予防や治療の効果が上がることもあります。
「歯科に定期的に受診しておいた方が安心」という感覚になります。
→ 問題解決には「早期発見、早期治療(経過観察も含む)」が基本です。でも、そのためには普段からのコミュニケーションが欠かせません。「歯医者さんと親しくなっておく」ことが、歯を長持ちさせる秘訣です!
それなりに困らずに生活できます。
→ 本町時代から継続して診ている患者さん(10-20人、10~15年経過)で実感。仕事を抜けてきて20分診療… でも、皆さん何とかなっています! そう考えると、やはり定期的な受診が大事ということですね!(結果的に、上の3つの項目も ”それなりに” クリアーされておられます👍)
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診療理念

⓪ ご自身で健康維持・管理ができるためのサポートをします
開院して10年間、下の①~③に頑張って取り組んできた結果、それだけでは③の最後までたどり着く患者さんの割合が少ないことに気がつきました!(この⓪のタイトルと同じことは開院当初から考えていたけど…)。これは当院のやり方の順番が間違っていたからで(立ち上がりはやむを得ない部分も…)、まずはこの⓪(すなわちメンテナンス→予防!)から患者さんと一緒に取り組む必要性があることを痛感しました! それがあってこそ本当の意味での①~③が達成できると思うので、これからはこの新しいプロセスを患者さんと一緒に作り上げていける歯科医院を目指していきます!

① 患者さん本位の治療 ・・・(省略)

② 専門性の高い治療 ・・・(省略)

③ 長持ちする治療
治療の精度をできるだけ高めて再び悪化しにくい状況を作っていくとともに、新たに治療が必要にならないように管理していくことを目指します。そのためには、歯みがきや歯石取りといったよくある虫歯や歯周病の予防だけでは不十分で、患者さんの全身状態や生活習慣、咬み合わせなど多くの要素を含めた生活習慣病としての捉え方やトータルでの対応が重要になってきます。経験的には、治療が終了した後も定期的なメンテナンスを継続されている方は、ご自身の状況を理解されているので自己管理もしっかりしていることが多く、たとえ問題が起こったとしても重症化する前に早期発見・早期治療ができ、比較的安定した状態を長期に維持されていることが多いと感じています。当院では歯を残すことだけを目標とせず、患者さんが歯や口のことで困らず一生自分の歯で食事ができ、健康で快適な生活が送れるようになるためのサポートができればと考えています

 ⓪+(①+②)=③
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いかがでしょうか?

少しは伝わったでしょうか?(それが難しくてこの10年間は頭を抱え続けてきました・・・)

コロナ禍が明けてからの世の中の状況や医院を取り巻く状況の変化から先を見通すと、おそらくこうなっていくんだろうなぁ・・・という方向性は確実にあると思います。

それはここでは踏み込んではまだ書かない(というかずっと書けない!)ですが、おそらく歯科医院に通っておくことが自分の身を守ることにつながる時代が来るように思います。

(ヒント:実際に当院で経験していることですが、アメリカに在住している日本人の方は、保険証を持っていなくてもみんな日本で治療を受けたがります。それが日本に住んでいるありがたさを表していると思いますが、最近話題になっている社会保障費や人手不足の問題の歪みが実際のところ差し迫ってきていて、いつまで現場が持ちこたえられるのかな?、というのが正直なところです・・・)

いかんいかん、ちょっと先走って?しまいましたw

ということで、続きは歯科医院でのメンテナンスでまた話題に出してみてくださいね。(覚えているかどうかしらんけどw)

自由診療の価格改定について

堺市北区新金岡 永山歯科医院 院長の永山です。

昨今の「物価高騰、賃金上昇」の圧力はすさまじく、医院を運営していく中でも日々実感していて、頭を抱えるしかないのが現状です。

一方で、「アベノミクス」で当初目標として掲げられていたデフレを脱却するための「物価上昇率2%」や「賃金増加」、そしてその後に続いた、少子高齢化・人口減少が確実に予測される中で持続的な経済成長を実現するための「働き方改革」や「技術革新(イノベーション)」という一連の流れから見るに、これは起こるべくして起こった状況であるとも思えてきます。

その中で、自分自身や医院がこれからどう進んでいけばよいのか?、についてはとても難しい課題ではありますが、もはや避けて通れるものではないことも明らかです。

 

このテーマについてはいろいろお話したいこともありますが、まずは当院における対応のひとつとして、「自由診療の価格改定」(まだ案、移行は2024年5月~)についてお伝えします。(保険診療についてはすでに公的に声明が出されていますが、こちらも頭が痛い問題です・・・)

ご意見がある場合は、コメントに書いてもらえると助かります。(非公開)

まだあと半年くらいは日にちがあるので、今後の参考にさせて頂きます。

どうぞよろしくお願い致します。(2023年10月記載)

※ 全て税抜き表示です。

 

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【被せ物】

オールセラミッククラウン 120000円→130000円

(開院時に価格表を参考にさせてもらった先輩の医院では、10年前からプレミアム価格で160000円です!)
(技工士さんの技術がとても高くて、技工料も一般的な相場よりも高いです)
(世の中の相場を見ながらですが、いずれはさらに値上げをしていくことになると思います)

ジルコニアクラウン 100000円→110000円

ゴールドクラウン 100000円→120000円(金相場を反映しています)

 

【詰め物】

セラミックインレー 60000円→70000円

ゴールドインレー 60000円→70000円

ダイレクトボンディング 50000円

 

【インプラント】

1本 450000円~(骨造成や被せ物の種類、ガイドの使用により、多少の上乗せがあります)

 

【義歯】

ノンクラスプデンチャー(片側) 100000円→110000円

金属床義歯(片側)200000円→220000円

金属床義歯(両側、総義歯) 300000円→340000円

※ コンビネーションやオプションを追加する場合は、多少の上乗せがあります。

 

【保存治療・根管治療】

専門医レベルの治療をご希望される場合、治すのに保険適応外の材料の使用が必要な場合、など
→ 精度を上げて治療することでより良い結果につなげて、歯の寿命を延ばすことを目指します

(保険診療の中では様々な制約により、「専門医レベルの治療」はご提供することができません)
(大学病院でも東京医科歯科大学では、専門医の担当を希望する場合は自費治療(自由診療)になると聞いております)

歯髄温存療法(MTAセメント) 40000円

(神経を抜いてしまった場合にかかるそれ以降にかかる治療費と時間が浮くことになり、何より歯の寿命が延びます!)

根管治療  ・・・ ラバーダム or Zoo使用

・ 診断料(CBCT)10000円

・ 前歯 70000円→90000円、小臼歯 80000円→100000円、大臼歯 90000円→110000円
→ マイクロスコープ使用、ニッケルチタンファイル使用

・ 隔壁作成 10000円、破折器具除去、穿孔封鎖、MTAセメント 30000円

支台築造(ファイバーコア) 10000円→15000円

歯根端切除術  ・・・ マイクロスコープ使用、保険適応外材料使用

・ 前歯 100000円、小臼歯 130000円、大臼歯 150000円

 

【歯周外科手術】

矯正的挺出(Extrusion) 30000円

歯周外科手術(1歯、FGG / CTG) 40000円

再生療法 1歯 80000円~(薬剤や骨造成の種類・量により、多少の上乗せがあります)

自家歯牙移植 100000円~(インプラントと比べると、自分の歯を使うのでより安心です)

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【保険治療か?、自費治療か?】

このテーマは、日本で歯科臨床を行っていくなら永遠の課題だろうと思います。

開院して10年近くの葛藤を経てようやくその対処法が見えてきたので、その一部についてご説明しようと思います。

 

まず、言葉の問題として、「保険治療 vs 自費治療」と「保険診療 vs 自由診療」という2つがあります。

これを自分で考えて頭の中で整理するのはなかなか難しいと思うので、簡単に解説させて頂きます。

 

→ 左側の捉え方が一般的ですが、実は右側の捉え方が本来です。

これは歯科独特の話で、医科では異なります。(参照:② 悪くなった自分の歯を長持ちさせたい方

 

→ 日本の保険診療の価格は、海外に比べると10ー20%に抑えられていると言われています。

仮に高い技術があっても(実際のところはものづくりと同じで、日本の歯科医師の技術は海外よりも高いと思います)、保険診療の中で全て発揮すると、材料費や時間の面で採算が成り立たないのが現実です。

 

なので、保険治療で「良い治療」はできても(何をもってなのかは人ぞれぞれなので、何とも言えないところですが・・・)、使える材料やかけられる時間の制約により「最高の治療」はできない、とうのが本当のところです。

その中での治療が結果的に患者さんの期待値を上回って、患者さんがご満足されれば、それが「良い治療」をご提供できたことになるのでしょう。(患者さんのご希望もさまざまなので、毎回その基準を微調整して診療に臨むのは本当に本当に大変です💦 ←いつかはやめようと思っていますが・・・)

 

一方で、「高い技術」というのは何をもって言うのか?、という疑問も出てくるのではないかと思います。

これは IT(Information Technology)が発達した現代においては、例えばホームページやネット広告のように、書かれてあることがあたかも真実であるように捉えられてしまうような風潮がありますが(実際にそのような設計は年々高度化してきています)、実際には思っていたのと違った!、というのはよくある話ではないでしょうか?

歯科医院でこのようなことを防ぐためには、普段から先生と患者さんがお互いに顔なじみになっている「かかりつけ医」という関係性が大切であり、そのためには定期検診(保険診療)でお互いの信頼関係を積み重ねていくことが何より重要なのではないか?、といろんな経験をして思うようになってきました。(高い技術があれば、おのずと結果もついてくるはずです ←が、100%にならないのが永遠の課題・・・)

なので、そのベースがあって初めてこちらも持っている技術力をフルに発揮しやすくなりますし、患者さんにとっても慌てることなく、どこまでの良い治療を求めるのか?(保険治療か?、自費治療か?)や、いつ治療に踏み込むのか?についても、より詳しく丁寧な説明を受けることができて、より納得できる選択が取れるのではないかと思います。(そして、よりその患者さんに適した「オーダーメード治療」=「自由診療」に近づいていくことができます)

 

これを実現するためにはまだまだ他にもいろんなハードルがあるのですが、ようやくそのベースが見えてきたところというのが現状です。

まずは、定期検診の大切さをを改めてお伝えするところから、そしてその体制をより整えるところから始めながら、次の10年の課題として「痛みを伴う改革」を進めていきたいと思います。(参照:① 健康な自分の歯を大事にしたい方

 

プロバイオティクス

堺市北区 新金岡 永山歯科医院 院長の永山です。

 

突然ですが、「プロバイオティクス」という言葉をご存知でしょうか?

以下のサイトに説明があるので、聞いたことのない方は一度ご自身で確認してみて下さい。

プロバイオティクスって何? – 大塚チルド食品 参照

自分なりの解釈としては、特定の食べ物や飲み物に入っている善玉菌を体に取り込むことで、腸内細菌のバランスを善玉菌優勢にして(相対的に悪玉菌を減らして)、体の本来持つ機能(消化、吸収、排便など)を引き出したり免疫力を上昇させたりして、より元気に、そしてより健康になりましょう、みたいな感じです。

具体的に商品で例を挙げると、① 明治プロビオヨーグルトR-1 、② ヤクルト400 、③ 明治プロビオヨーグルトLG21  などがあります。

もしかしたらはすでに飲まれている方もおられるかもしれませんし、その効果を実感されている方もおられるかもしれませんね。

僕はまだ始めたばかりなのでまだ効果は実感できていませんが、大学で研究をしていたこともあって、基本的には何でも鵜呑みにはしないでまずは疑って検証しようとする習慣が身についているので、今後にまた話す機会があれば、自分の体感も含めてお伝えしようと思います。

(商品のホームページを見てみたけれど、細菌の詳しい作用メカニズムまでは記載されていなかったので、盲信は危険ですね。こちらも含めて、また調べてお伝えします m(__)m )

 

でも理屈から考えると、個人的にはこれは起こり得る話だと思っています。

大学で細菌学を専門にされている教授と話したときに教えて頂いた話ですが、「以前は腸内は体の外側だから体内の環境とは関係がないと考えられてきたが、最近の研究では腸内細菌が体内の環境に影響を与えていると捉えられるようになってきていて、それを裏付けるデータも出てきている」と言われていました。

(例えば、胃潰瘍とヘリコバクター・ピロリの関係とか)

消化性潰瘍ガイド – 日本消火器病学会ガイドライン 参照

また、歯科医師会で予防歯科学の教授の講演を聴いたときにも、「子供のうちから口の中をきれいにしておく習慣があると、悪玉菌の増殖がコントロールされて、大人になってから虫歯や歯周病になるリスクを減らすことができる可能性がある」と話されていました。

(例えば、歯周病における Red Complex とか)

歯周病菌とは – 大分県歯科医師会 参照

よく考えてみると、きれいに整理整頓されていてきちんとお掃除されている家の方が、ほったらかしで荒れ放題の空き家よりも傷みが少なくて、修理やリフォームも先に伸ばせて簡単に済ませれることが明らかなのと同じ理屈なので、当たり前と言えば当たり前の話な訳です。

 

これらの話をまとめて皆さんのお口の中に置き換えて考えてみると、定期検診(メンテナンス)による歯石除去(プラークコントロール)がいかに大事であるかがよくわかると思います。

というのも、口の中には腸内とは違って「歯」という細菌が定着することができる足場があり、さらに表面にこびりついた細菌の塊は歯ブラシで磨く程度では擦りとることができず、また抗生物質などの薬も効かなくなることが知られています。

(専門的にはこの細菌の塊の状態を、バイオフィルムと言います)

歯周病はバイオフィルム感染性 – 日吉歯科診療所 参照

つまり、口の中が汚れていて細菌がある程度の量を越えてしまうと、自分で取り除くことができなくなってしまうので、ほったらかしにしていると気づかないうちに虫歯や歯周病が進行してしまい、結果的に歯の寿命を短くしてしまうことになるのです。

これを防ぐには、今のところは歯医者さんで歯石取りやクリーニングをしてもらうしか方法がありません。

逆に言うと、ほったらかしにしていたにもかかわらず、「痛くないようにしてほしい」とか、「歯や神経を抜かないでほしい」とか希望されても、「無理なものは無理です…」としか答えようがないことも、ここまで読んでもらえればわかって頂けると思います。

(実際のところはそうは思ってもそのまま言うことができない場合も多いので、日々頭を悩ませながら診療しています)

また最近は、一通り治療が終わった患者さんでも、ある程度で一旦治療を終えて残った怪しい歯は経過観察している患者さんでも、メンテナンスに通われることでそれなりに維持できることを実感していますし、医療や介護の現場でお仕事をされている患者さんにお話を伺ってみても、みんな「口腔ケアは大切」だと言われていて、認識もかなり広まってきているように感じています。

口腔ケア – 8020推進財団 参照

なので、皆さんにおかれましても、ぜひ「痛くなって困ってから歯医者さんに(嫌々)行く」のではなくて、「悪くならないようにするために歯医者さんに行こう!」というように意識改革を起こして頂いて、ご自身の体はご自身で守る(管理する)という意識を身につけてもらえると、健康には一番良いのではないかと思います。

(僕も今年は40歳で厄年にもなるので、本格的な人間ドックに行くつもりです)

 

では、口の中における「プロバイオティクス」についてはどうなのか?、という疑問を持たれた方もおられるのではないでしょうか?

これに相当する食べ物や飲み物については、昔からリステリンやイソジン(うがい薬でもある)といった洗口液が有名ですが、実はこれらは殺菌・消毒するものであり、結果として善玉菌が優勢になることはあっても善玉菌が成分に含まれている訳ではないので、厳密には「プロバイオティクス」とは言えない部分があります。

また、これらの洗口液ではバイオフィルム状態になった細菌の塊を殺菌したり取り除くことはできず、あくまでも新たに付着してバイオフィルムが成熟していくのを防ぐ程度の効果しか期待できないので、これも盲信は危険です。

最近になって、ラクレッシュという善玉菌を含む正真正銘の「プロバイオティクス」商品も開発されてきているので、今後の検証が楽しみです。

ラクレッシュ – L8020協議会 参照

L8020菌を使用した製品のご案内 – Campus Medico 参照

(個人的には、歯が悪くて困られているご両親がおられるお子さんの虫歯予防に、定期検診やフッ素塗布と組み合わせて使用するのが、最も効果的ではないかと今のところは考えています)

 

以上、難しいことを長々と書いてきましたが、最後まで読んで頂きありがとうございました m(__)m

今回は歯医者さんの目線からお話しましたが、お医者さんの視点から体の健康を考えるなら、食事、運動、睡眠、ストレス、お酒とタバコ… といった「生活習慣」の見直しが必要不可欠になると考えています。

歯科とも関連することが多いトピックばかりなので、またいずれ別の機会にお話しますね。

皆さんの健康に対する意識を変えるきっかけになれば幸いです。

ではまた!

 

仕事納めに考えたこと

堺市北区新金岡 永山歯科医院 院長の永山です。

あっという間に1年が過ぎていきました。

歳を重ねるごとに、そのスピードが速くなっていくのを実感しています。。。

実感と言えば、診療における「師走」の実感にも変化がありました。

日々感じていることにもつながると思うので、今回は前回の投稿で予告した「メンテナンスの効果」も交えてお話させて頂きます。

※ 過去の投稿 「師走」(2014年12月14日)、「定期検診」(2014年10月23日) ご参考まで

 
まずは「師走の実感の変化」ですが、例年なら「痛い」「腫れた」「取れた」と訴えられて来院される患者さんが多くてバタバタしていた記憶しかないのですが、今年は意外と落ち着いていて、来られた場合でも余裕を持って対応することができました。

仕事納めが済んでホッと一息ついた時間にふと考えてみたところ、これには大きくわけて2つの要因があると思いました。

 

まずひとつ目は、「スタッフの能力アップ」です。

応急処置を始めるまでに必要な、お困りごとの聴きとり(問診)やいろんな検査(診査)などを的確に済ませてくれるおかげで、予約の患者さんにしわ寄せがいき過ぎることなく、すぐに診断して説明して治療に取りかかれるようになりました。

また、通院されている患者さんにおいても、歯のことで困らず無事に年を越して頂けるように、計画的に治療を進めることができていることも大きいんだろう、と思います。

まだまだ改善の余地はありますが、チームプレーのとっかかりをつかめたことを実感できただけでも、これからにつながる良い兆しだなと思いました!

 

そしてふたつ目は、「患者さんの意識の変化」です。

治療が一通り終わった後にも定期的にメンテナンスに来院される患者さんが増えてきたため、地域の人たちの中で、おそらく「痛い」「腫れた」については起こりにくい (「取れた」については消耗品なので仕方がないです))状況に持ち込めている方の割合が大きくなってきたのではないか?と考えるに至りました。

今までは勤務医だったり開院してまもない間で、それほど多くの新しい患者さんを診察する機会がなかったのでわかりませんでしたが、大学時代からひとりの患者さんを長期に渡ってメンテナンスをしてきて実感していた効果 (10年を越えてくると、うまくいく場合もいかない場合も含めていろんな気づきがあります))を、より大きな単位 (一開業医として))でも実感することができて、今後の当院におけるメンテナンス(予防歯科)への取り組みの大きな指針を得たように思いました。

お正月休みに、じっくり現場への落とし込みについて考えてみようと思います (^_^ゞ

 

でも、これだけでは「メンテナンスの効果」や「患者さんの意識の変化」についてはピンとこないと思いますので、ここからは当院で実際にあった事例を基に、いくつか具体的にお話してみます。

 

① それなりに持たせていく

あちこち悪いところはあるんだけど、踏み込むと大がかりになるので、あるいは患者さんが抜きたくないので、メンテナンスをしながらそれなりに持たせていく形での診察(予防?治療?)を継続している方々がおられます。

いずれ介入が必要になることはお互いにわかってはいるのですが、のらりくらりと数年は困らずに来ていたりもしています。

今までの僕なら大学病院やビジネス街の医院に勤務していたこともあり、即断即決、治療すべきところはすぐ介入することが基本でしたが、郊外の住宅街で、しかも高齢の方も多くおられる地域性を考えると、これはこれでひとつのやり方だな、と思うようになりました。

というのも、大体そういう患者さんはもともと定期的にメンテナンスに通う習慣がないため歯周病の状態もよろしくないことが多いのですが、少なくとも通って頂いているうちにある程度はこちらが病状を管理できるようになるので、次に介入するときにはそれなりにきれいなお口の中の状況からスタートできて、より早くて質の高い治療が提供できることに気がついたからです。

さらに、その間に先生や衛生士との信頼関係も築くことができて、またご自身にあった歯磨きのやり方を身につけて頂くこともできているので、時期が来たときの治療への移行が、患者さんの心理的にも受け入れやすくなることもわかりました。

特に高齢の方にとっては、口の中を清潔な状態に保っておくことは、80歳以上の高齢者 における死因で第3位である「(誤嚥性)肺炎」の予防にも役立つので、元気で長生きするためにメンテナンスは欠かせないのではないかな、と思うようになりました。

ちなみに、死因の第1位は悪性新生物(がん)、第2位は心疾患、第3位が脳血管疾患で、第4位が老衰、第5位が肺炎みたいです。(第3~5位の割合はほぼ同じ)

超高齢化社会を迎える今後に向けて、歯科医が現場できる貢献の仕方を引き続き模索していこうと思いました!

 

② いざというときに役に立つ

今年は台風に大雨、さらには地震まで起こる始末で、災害に見舞われ続けた一年間だった、と言うこともできるのではないかと思います。

その中で、「備えあれば憂いなし」と感じるところも多かったのではないでしょうか?

これは健康と病気の関係にもあてはまることなんですが、そのわかりやすい例を経験したので、ご紹介させて頂きます。

 

ご高齢のご夫婦でしたが、ぼちぼち通われてそれなりに治療をさせて頂いて、揃ってメンテナンスに来るようになられておられました。(①の状況に持ち込むことに成功した)

そんなある日、ご主人さんが病気になられて、しばらくお二人とも来られなくなりました。

一年弱の闘病生活を乗り越えられて無事に帰って来られましたが、歯磨きを “それなりに” されていたおかげで、大規模な治療は必要ない状態で戻ってくることができました。

そして、しっかり咬んで食べることができたので、今では元通りのお元気な状態まで回復されています。

悲しいことですが、これとは全く反対のケースも経験しているので、まさに「備えあれば憂いなし」だな、と思うようになりました。

今後はこのように健康寿命が長くて、言葉は悪いですが、「ピンピンコロリ」になる患者さんが増えていくように、「メンテナンスの効果」をお伝えして、「患者さんの意識の変化」を起こす取り組みを続けていこうと思いました!

(お子さんやお父さん、お母さんバージョンも頭の中にはあるので、お正月休みの宿題にしたいと思います)

 

③ 咬めると元気になり、意識も上がる

これは今までの①、②とは逆説的ですが、大規模な治療を乗り越えられた患者さんは、まじめに通われるようになる気がしています。

これは咬めなくて辛い経験が身に染みているために、そして咬めるようになって状態が良くなることを実感するために、とりあえず診てもらっておいた方が安心、もう大変な治療は勘弁して、という心理作用が働いているものと考えています。

そういう意味では、まだ歯がなくなっていない、困っていない患者さんに、如何に予防が大事なことかをわかってもらうことが大事になってくると思うので、その辺りも意識してメンテナンスに来られる患者さんには繰り返しお伝えして、正しい知識を身につけていってもらわないといけないな、と思いました。

 

以上、話が長くなりましたが、メンテナンスについての理解を深めて頂けましたでしょうか?

これは歯科だけの話ではなくて、基本的には全身の健康と病気にもあてはまる考え方なので、普段は忙しくてなかなかゆっくりと自分の健康について考える時間がない人ほど、お正月休みの間に一度お考えになられてみられてはどうかな、と思いました。

では、皆さん、よいお年を!

差し入れ

堺市北区新金岡 永山歯科医院 院長の永山です

先日、患者さんから「スタッフの皆さんに…」と、超素敵な差し入れを頂きました。

それは何と…

グレープフルーツゼリーです! (^○^)

何でも患者さんは和菓子の職人さんだそうで、わざわざ手作りして届けて下さりました。

現在も堺の老舗のお店にお勤めだそうです。

今までそうとは全然知らずに治療をしていましたが、同じ“食”に携わる職人としての心意気が通じあったのでしょうか?

勝手にそう思い込んで、ひとりで自己満足の悦に入ってしまうとともに、できるだけ質の高い仕事を安定して提供して、多くの患者さんに満足してもらえるように、より一層の改善を図っていかないといけないな、と思いました!(^_^ゞ

 

それから、これも何人もの患者さんから話を伺って学んだことですが、年を重ねていくと最後は食べることしか楽しみがなくなるそうで、歯の大切さが身に染みてわかるそうです。

よく「歯は一番大事」とか「もっと早くに気づいていたら良かった」とか言われるのを聞くと、大昔にCMであった「芸能人は歯が命」は、実はみんなに当てはまることなんだなぁ~、と思わされます。

今の自分の理解としては、人間の欲には、食欲、睡眠欲、性欲…といった生理的・本能的な欲求から、金銭欲、名誉欲、承認欲求…といった心理・社会的な欲求までたくさんの種類がありますが、年を重ねる毎に余分なものが削ぎ落とされていき (あるいは手放されていき)、最後に残るのが「食」になるのではないか? と考えるに至りました。

※ 欲求とは?- Wikipedia 参照

そう考えると、口の働きは「食べること」(咀嚼・嚥下→消化・栄養吸収) にとどまらず、「話すこと」(会話)や「笑うこと」(表情)、「呼吸すること」(睡眠)、など生きていくのに必要不可欠なことがたくさんあります。

若いときは当たり前すぎて気づかなかったことでも、年齢を重ねていろいろ思い通りにいかないことが増えてきたり体が悪くなっていくことを実感し始めると、元気でいたい、美味しいものを食べて毎日を楽しみたい、という希望がより大きくなってくるのではないか?と思うようになりました。

 

先程の和菓子の職人さんも、おそらくパティシエの職業病 (甘いものを作って試食する→虫歯になる) の悪循環で長年困られていた問題 (食べづらい) が治療で改善の方向に向かったことがご本人にとっては良かったのではないかと推測していますが、実はこれは生活習慣病の典型です。

長年に渡る病気の原因の蓄積は案外自覚しにくいもので、症状が出て気づいたときに重症化していることは、お医者さんにかかる病気も含めてよくあることです。

仕事とはいえ一生懸命働いてきて、最終的に体を壊してやりたいことが満足にできなくなるのは、とても悲しいしもったいないことです。

(自分のこれまでの経験の反省も含む。でも、なかなか改善できていないところが辛いところで、まさに「医者の不養生」状態ですw)

この状況を改善するのにはダイエットや禁煙と同じでかなり強い意思とその持続が必要ですが、残念ながらそのようにきちんと自己管理できる方は、仕事や子育てで忙しい働き盛りの世代に限らず、お子さんでもご高齢の方でもそれほど多くはおられないと思います。

かといって、○イザップのように短期間で追い込んで目標達成するのも、こと「健康」に関しては違うように思います。

(しかし、これはあくまでも生活習慣病の予防に限った話です。病気の「治療」については、そんなにのんびり構えていたのでは治らないし、結果にもコミットできないので、やはり必要なアプローチだと思います)

歯の治療だけで患者さんの生活習慣の全てがわかるわけでも治せるわけでもないので難しいところですが、病気の治療(修理)に没頭するだけではなくて、できるだけ患者さんに寄り添い、背景を読み取り、気持ちに応えて、長期間に渡り健康をサポートしていく(メンテナンス)ことの大切さを改めて教わりました!

(治療とリハビリの両立みたいな感じですね)

このメンテナンスの効果については、定期的に来られている多くの患者さんで実感しているところなので、また別の機会にお話しできればと思います。

 

今年の正月休みは更新を頑張らないといけないですね! 師走に入り、その名の通り慌ただしい毎日を過ごしておりますが、いよいよ年の瀬も押し迫り、今年もあと数日を残すのみとなってしまいました。

皆様におかれましてもご自愛なさって、よいお年をお迎え下さいね。

 

 

【追記】

先日・・・と書き出しましたが、実はいつものように書くのが遅くなって月日が流れていて、調べてみると10月5日の話でした。

で、これは本当にこの投稿の数日前ですが、患者さんがまた超素敵な差し入れを届けてくれました!

今回は・・・

いちご大福です!!

手作りのお菓子はお店では売っていない唯一無二の一品であり、この上ない贅沢ですね!

仕事のあり方として、見習いたいなと思いました。

来年はその辺りにも取り組んでいくように頑張ります!(^_^ゞ

 

 

【追追記】 ちなみに・・・

(参考)脳内メーカー ←試してみて下さい

自分はどうやら三大欲求(生理的・本能的)の塊のようですw (単細胞?)

逆に言うと、金銭欲、名誉欲、承認欲求(心理的・社会的)などの高次の欲求は、良いのか悪いのかわかりませんが、あまりないようです。。。 (不器用?)

ある意味で、わかる人にはわかりやすい性格なのではないかと思いました!

勉強してきました

堺市北区新金岡 永山歯科医院 院長の永山です

先週の日曜日に、大阪大学歯学部同窓会の学術講演会に出席して、以下のお話を勉強してきました。

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97th gakujyutukouenkai

【講師】

・矢谷博文先生(大阪大学大学院歯学研究科顎口腔機能再建学講座 クラウンブリッジ補綴学分野教授)

・木林博之先生(大阪大学大学院歯学研究科臨床教授 大阪大学歯学部附属歯科技工士学校非常勤講師)

・黒住琢磨先生(大阪市開業)

・大谷恭史先生(ワシントン大学招聘教授 米国補綴専門医 大阪大学大学院歯学研究科臨床准教授 北海道大学歯学部非常勤講師)

・高岡亮太先生(大阪大学歯学部附属病院医員)

 

【会場】 大阪大学歯学部記念会館

 

【講演内容】

支台築造、支台歯形成や印象採得などの各臨床ステップは補綴歯科治療には欠かせない基本的な手技であり、それらは歯科医療の長い 歴史の中で様々な研究や臨床的経験の結果、体系化されてきた。科学の発展により次々と新しい材料や機器が開発され、新技術が産まれつつあるが、それらは補綴歯科治療の根本を変えるような技術革新に繋がっている訳ではない。これまで先人たちが体系化してきた補綴歯科治療における基本的な知識や手技を無視して、最新技術頼りの補綴歯科治療を推し進めることで予期せぬ結果に繋がってしまうこともありうる。もう一度先人たちが築き上げてきた基本に立ち返り、十分に理解することで、最新の材料や技術を最大限に活用できるようになるのではないだろうか。そのためには、古典的な文献から最新の文献まで幅広く触れ、過去を踏まえた上で現在を理解することが非常に重要である。

本講演では、補綴歯科治療を成功に導くためにどのようにしてエビデンスに基づいた臨床的決断を下すのか、幅広い文献的知識及び考察に基づき、 失敗症例における根本的な原因を追求しながら解説していきたい。

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何のこっちゃ?、難しいことを勉強してきはってんなぁ… というのが読まれている方の正直な感想ではないでしょうか?

少しだけ解説しますと、まず「歯冠補綴(しかんほてつ)」とは、虫歯や怪我で失った歯の一部を、いわゆる被せ物(クラウンやブリッジ)で修理することです。

日本補綴歯科学会HP 補綴歯科ってなに? 参照

そして、「Evidence-Based(エビデンスベースド)」 とは、科学的根拠に基づいた(治療)、という意味です。

エビデンス – Wikipedia 参照

私たちは何事をするにしても長年の経験や勘に頼ってしまいがちですが、医学においてはそうではなくて、論文を調べてできるだけ確実で信頼度の高い方法を選びましょう、という考え方です。

この「エビデンス」については、僕が大学で学んだ教室(歯科保存学)のモットーだったので自分にとっては馴染みが深いのですが、今になって振り返ると、自分の専門分野(虫歯と歯周病)における臨床、研究、教育の全てによく浸透していたように思います。

日本歯科保存学会HP 歯科保存とは 参照

 

一方で、歯科補綴学(歯冠補綴、入れ歯やインプラントなどの欠損補綴も含まれる)においては、歯や口という体の中でもかなり複雑な部分における “ものづくり” を扱うために技術的な要素が大きく、上の講演内容にも記載されているような問題が起こりやすいため、開業医の立場でエビデンスを活かした診療を実践するのがなかなか難しいところがありました。

今回の講演内容は大学の専門の教室に所属する様々な立場の先生の話をまとめて聞くことができるので、普段から感じているモヤモヤを解消することができる良い機会かなと思い、久しぶりに参加しました。

結果的には、歯冠補綴のエビデンスを学ぶことで、普段の診療の精度を上げるヒントをたくさん見つけることができましたし、自分の知識と技術と経験の再確認もできたので、とても良い勉強になりました。

また、同級生の先生の近況や、以前に臨床実習で指導した先生がもう10年目になり、保存を大切にしながら補綴の臨床を頑張っている成長した姿を知ることができて、とても良い刺激をもらいました。

このような学びを活かして患者さんに還元できるように、明日からもまた頑張ろうと思いました!

 

 

【追記】

先日、大阪労災病院に行ったときにモニターに写し出されていた患者さん向けのスライドを見ていると、「がんの治療法」についてわかりやすく説明されていました。

その中に出てきていたのですが、がんの三大治療である外科治療(手術)、化学療法(抗がん剤治療)、放射線治療において、現在では部位や進行度に応じて「標準治療」という科学的根拠に基づいたガイドラインに則って術式や薬剤の種類と投与量を決める治療法がスタンダードになっています。

標準治療 – 国立がん研究センター 参照

治療法を考える – 国立がん研究センター 参照

標準治療って何? – 中外製薬 参照

この科学的根拠=エビデンスであり、「標準治療」は研究成果(基礎研究と臨床試験)や過去の臨床成績(統計学)により検証されたそのときの最善・最良の治療法とされています。

そして、日本は国民皆保険制度であり、「標準治療」については医療費が高額になっても限度額適用認定が使えるため、患者さんの自己負担は限度額内で済むようになっています。

高額療養費 – 全国健康保険協会 協会けんぽ 参照

 

一方で、最先端の治療(先進医療)についてはまだ検証が十分ではないので治験という形で行われていて、治療費は保険適用外となり高額になる傾向があります。

具体的には、外科治療においてはロボット手術、化学療法においては遺伝子検査(診断)と分子標的治療薬(最新の抗がん剤)、放射線治療においては陽子線・重粒子線治療、などが開発・普及されてきていて、従来の治療法では治すことができなかったような状態でもより良い状態に持ち込んだり、結果的に寿命を伸ばしたりすることも可能になってきています。

がんの分子標的薬 – キャンサーネットジャパン 参照

そして、新しい科学的根拠(エビデンス)を確立してより優れた治療法や新薬を開発するために、多くの関係者(医師や研究者)が日夜努力をしています。

 

なので、エビデンスを活用(応用)するためには、過去から現在、そして未来までを俯瞰できる視点を持つ必要があるので、休日にもかかわらずわざわざ勉強に行ってきたという訳です(講師の先生方もお忙しい中で休日に講演会を開催して下さっている訳で、本当に頭が下がりますm(__)m)。

また、講義の中でもたくさんの良い治療法やすばらしい症例が出てきていましたが、歯科の臨床においては技術的な要素が大きいこともあり、最善・最良の治療法については保険外治療になることが多い(一方で、検証が不十分なこともあるので、その部分の注意は必要です)ので、医療が進んできて情報化社会になってきた今だからこそ、エビデンスを患者さんにわかりやすく伝えながら、保険診療(=標準治療)と保険外治療(=先進医療)についての説明を十分にして、納得された上で治療法を選んでもらうようにしていかないといけないなぁ、とも感じました。(逆に言うと、患者さんが先生におまかせではなくて自分自身で考えて選ばなければならない時代になってきているということでもあります)

実際のところは、以前に書いた「専門医」のときの話と同様で難しい部分がたくさんあるのですが、自分のできる範囲で結果を出していけるように、これまでに身につけてきた臨床と研究の知識と技術と経験を活かして努力していこうと思いました!

 

 

【追追記】

さらに先日、用事があって大学に行ったのですが、ついでに専門書を大人買いしたり(爆)、教授の先生と話をしたり、読みたかった論文を検索して入手したりして、自主的に「エビデンス」の強化に励んできました。

大学に勤務しているときにはどれも当り前のことで何とも思わなかったですが、開業医になってみて改めて恵まれた良い環境で勉強することができていたんだなぁ、と思いました。

このように「エビデンス」と一括りに言ってはいますが、いろんな種類があることがおわかりになられましたでしょうか?

突き詰めていくといろんなことが見えてくるので、一生勉強に終わりはありません。

これからも積極的に自己研鑽に取り組んで、より良い医療が提供できるように精進していきます!

虫歯になりました

堺市北区新金岡 永山歯科医院 院長の永山です

ブログを書かねば!っと一念発起し、年末年始も日本語と格闘していたのですが力尽き、気づけばもう3月になってしまいました・・・

幸いその間にもいろいろ書く題材は増えているので、まずは身を切って?自分の話題から発表しようと思います。

 

先日の診療後にキャラメルを食べていたところ、奥歯の詰め物が外れてしまいました。。。

大学勤務時代にも同様のことが起こって、同僚の先生に再装着してもらった経験があったので、今回もすぐにつけてもらって終わりだろうと思って診てもらうと・・・

「虫歯になっている」とのこと!

そもそも最初は学生時代の相互実習で発見された虫歯で、前回取れたときも虫歯はなかったので、自分の歯は丈夫と思い込んで安心していましたが、全くそんなことはありませんでした。。。

外れるのが二度目ということで、詰め物が傷んで変形して隙間ができていたのか、あるいはセメントが溶けていたのかのどちらかで、おそらく虫歯菌が詰め物の中に侵入していき、痛みなどの自覚症状が全くないまま虫歯が進行していたようです!

幸い神経を抜くほど大きくはなかったので、今となっては早めに取れてくれてよかったと思っているのですが、久しぶりの歯の治療でいろいろ感じることが多かったので、自戒の意味も込めてその経験を書きます。

 

① 怖さはなかったが痛かった

先生曰く、「恐怖心があると麻酔が効きにくい」とのこと。

普段の治療ではできるだけ麻酔を効かせるように気をつけているし、患者さんにも大丈夫ですか?と訊ねながら治療をしており、あまり痛いと言われることはないのですが、今回の自分はたまに痛みを感じることがありました。

自分ではそうではないつもりでしたが、やはり心の奥底では怖がっていたんでしょうか?

患者さんも言われないだけで、実は同じ気持ちなんじゃないかと心配になってきました。

僕の場合は、骨の厚みや麻酔が効くのを待つ時間、疲れ具合なども関係してたと考えているのですが、患者さんの気持ちにできるだけ配慮することの大切さを改めて教わった気がしました!

② 意外とひびく

虫歯を取る道具には、ダイヤモンドバー(よく削れる)とラウンドバー(ゆっくり丁寧に削る)とエキスカ(手でかき取る器具)があるのですが、ラウンドバーを使ったときに響く感じをとても強く感じました。

当院では小さい子供たちでも慣れてくると普通に麻酔をして治療を受けていますが、改めてみんな偉いなーと感心しました。

やはり、普段から通院して先生に慣れているというのが安心につながり、緊張の緩和に役立っているのではないかと思いました。

③ 歯石取りでも出血

お恥ずかしいことですが、麻酔の効き待ちの間にやってもらったクリーニング(歯石取り)で、歯茎から出血がやや多めでした。

歯みがきはそれなりにやっているし、新たな虫歯ができているわけでもないのですが、やはり、自己管理には限界があることを思い知りました。

医者の不養生と昔から言われますが、お医者さんに限らず働いていたり家事や子育てに追われている方のご自身に使える時間には限界があり、それが5年、10年、20年先にいわゆる生活習慣病として体のあちこちに問題が出てくるのではないか?と、最近多くの患者さんを診察していて思うようになりました(自分の経験も含む)。

患者さんに定期検診の大切さをいかに伝えるかについて悪戦苦闘する毎日ですが、今回の体験を通じて、やはり痛くなくても、困ってなくても、定期的に診てもらっておく(虫歯と歯周病を予防する、早期発見・早期治療)大切さを改めて実感しました。

今後は患者さんにもできるだけわかりやすく、実感が湧くように伝えていければと思います。

④ 高い?(値段ではないですよ!)

今回は白いプラスチックで詰めてもらいましたが(おかげで歯はきれいになった!)、2日くらいはずっと高さに違和感がありました。

おそらく本当に高かったのではなく、自分が慣れていなかっただけだと思っているのですが、口の中の変化の感覚への影響がこれほどまでに大きいのかと感じて驚きました。

今後はその辺りにもできるだけより細心の注意を払って診察していこうと思いました。

 

以上、拙い文章ですが、ひさしぶりに歯の治療を受けてみて感じたことを思うままに書いた体験談でした。

皆さまにとって何かのお役に立てれば幸いです!

堺市の?虫歯について

堺市北区新金岡 永山歯科医院 院長の永山です

開院して1年が経ち、堺市の多くの患者さんを診察させて頂きました。

その中で、今までの感覚と違うなぁ… 思った通りの結果が出ないなぁ… と感じたことがいろいろありました。

今回は虫歯についてお話しようと思います。

 

子供の虫歯については、最近は少なくなっているというのが定説で、堺市ではありませんが以前に学校検診のお手伝いに行ったときもそう感じました。

しかし、実際に小児のお子さんを診てみると、確かに真っ黒な穴だらけの子はまれなのですが、歯と歯の間に小さな虫歯がある子が多く、本人もお母さんも知らなかった!と言われることをよく経験しました。

子供の歯はそのうち大人の歯に生え替わって抜けてなくなるから虫歯になっても大丈夫!と思われるかもしれませんが、虫歯の中にはバイ菌がうじゃうじゃいるので、子供の歯に虫歯があると、生えたての大人の歯(特に6歳臼歯)も虫歯になってしまう確率がかなり高くなってしまいます。

早期発見、早期治療とよく言いますが、子供の歯のうちに虫歯治療をしっかり終わらせておくことは、将来大人の歯が生えそろったときに虫歯ができるだけ作られていない状況にすることにつながるので、ある意味、究極の予防法(理想は虫歯ゼロ)になるということです。

大人になっても虫歯で困られている方も、よくよく考えるとこの時期にできた虫歯のやり直し(の繰り返し)であることが多いのではないでしょうか?

かつて学会である教授が虫歯のことを「人類の業病」と言われていました。

子供も大人も虫歯になりやすい方がお口の環境を変えて新たに虫歯を作らないようにするには、歯磨き(めんどくさい…)、食習慣(甘い物が好き)、生活習慣(おやつをだダラダラ食べる)の見直し、定期的なメンテナンスに通う(仕事や子育てで忙しい…)など、意思の強さ的にはダイエットやスポーツのトレーニング並みの努力を必要とするので、いろんな誘惑のある現代ではなかなか大変なことです。

歯の知識をお伝えして健康に対する意識を変えてもらい、楽しく通える環境を作ることで根気強く一緒に虫歯予防に取り組んでもらえるように、患者さんだけでなく自分も「業」の部分と向き合って日々努力していこうと思いました!

 

それから、大人の虫歯でいうと、「神経を残す処置」の難しさを感じています。

というのも、今まで(開院まで)なら神経近くまで達した深い虫歯でもひと手間かけてなるべく神経を抜かずに保存していた(実際、成功率は高かった)のですが、開院してからは同じようにやっても痛みが出たり、すっきりしなくて結局神経を取るようになることを度々経験しました。

しばらく原因がわからなかったのですが、ひとつの可能性として、しばらく歯医者に通っていなくて虫歯が進行しすぎていたため、まだ症状はひどくないけれども虫歯菌の影響がすでに神経に及んでいたのではないか?ということに気づきました。

虫歯の治療をするときにはまず神経の状態を調べるのが原則なのですが、これは100%正確にわかるものではないので、経験を加味して判断しているのが実情です。

ところが、今までは大学病院に長年通っている患者さんの診療を中心に経験を重ねてきたので、堺市の?虫歯治療を日々経験している今から考えると、どうも同じ虫歯でも虫歯菌の活動性が低かったように思えてならないのです。

逆に考えると、定期検診に通うことで普段からお口の中にバイ菌が少ない状況を作っておくと(専門的にはプラークコントロールという)、虫歯になりにくいのはもちろんですが、たとえなったとしても被害が最小限で済ますことができるのではないか?と考えるに至りました。

臨床の実感をデータにして証明することは大学で研究をしていても非常に難しいのですが、ひとつの仮説として自分の経験に取り込んで、これからの虫歯治療に役立てていこうと思います。

(実は、もうひとつ考えられる可能性があるのですが、これも仮説として自分の中でもう少し検証してみようと思います)

 

たかが虫歯ですが、いろいろ奥が深いことが少しは伝わったでしょうか?

歯の治療をまじめに考えれば考えるほど、結局は予防や定期検診(虫歯を作らない、歯周病を進行させない)の大切さに行き着きます。

一生懸命考えて頑張って書いているのにいつも同じオチになってしまう、そして言いたいことがありすぎて結局まとまりのない文章になってしまう自分の拙い文章力を今更ながら残念に思いますが、何らかの気づきにつながって少しでも皆さまのお役に立てれば幸いです!

 

親知らず

堺市北区新金岡 永山歯科医院 院長の永山です。

開院してからよく悩む問題のひとつに、親知らずに関連するトラブルがあります。

親知らずの痛みや腫れについては、応急処置→経過観察または抜歯という流れになるのですが、問題なのは手前の歯が虫歯になっている場合です。

親知らずは抜いてしまえば傷は治りますが、手前の歯が虫歯になってしまったのは元には戻りません。

さらに、この場所に虫歯ができてしまった場合は比較的進行してしまっていることが多く、神経を抜いたり、最悪抜歯せざるを得ないときも結構あります。(理由はよくわかりませんが、今までの経験よりも明らかに遭遇する頻度が高いような気がします)

患者さんからしたら、今まで無症状であまり気づいておられなくて「えっ?」て感じだと思うのですが、こちらとしても歯をいい条件で残すのに苦労することが多く、「うわっ!」って思ってしまいます。

自覚症状がなければなかなか抜きたくないと言われる患者さんが多いですが、将来的に腫れそうだったり、かみ合わせに悪影響を及ぼしているような親知らずであれば、虫歯になる前に早めに抜いておくのもひとつの予防方法だと思います。

もちろん、移植に使える場合もあるのでむやみやたらに抜くつもりはありませんし、抜歯する場合も難しそうな場合はCTを撮ってよく調べてから抜歯方法を考えるので、ご安心下さい。

トラブルを回避するには、まずは患者さんがご自身のお口の中の状況を知ることが大切で、そして抜くにしても残すにしても納得して決めることが必要だと思います。

もし親知らずでお悩みの方がおられたら、お気軽に相談して下さいね。

新年

堺市北区新金岡 永山歯科医院 院長の永山です。

新年あけましておめでとうございます。

今年もどうぞよろしくお願い致します m(__)m

 

年末はやはり 「痛い」、「腫れた」といって来られる患者さんが多かったです。

それも炎症がひどくて麻酔がきかなかったり、痛すぎて処置ができなかったりして、かなり症状がひどい場合もありました。

休日診療にも出勤しましたが、こちらも同じような感じ(しかもそれがほぼみんな)でなかなか大変でした。

 

歯科の疾患(虫歯や歯周病)は細菌が原因の感染症ですが、慢性疾患なので普段の元気な時は多少問題を抱えている歯があっても、特に自覚症状もなく大丈夫です。

しかし、忙しかったり、疲れてたり、あるいは風邪をひいたりして体調を崩すと、免疫力が低下して細菌を抑えられなくなり炎症が起こり、「痛い」、「腫れた」の状態になってしまいます。

応急処置を受けたり、しばらく我慢してやり過ごすと次第に落ち着いていくので、「痛くなくなったから大丈夫」と思ってしまうのですが、原因に対する治療をしなければ、またそのうち同じことを繰り返すことになってしまいます。(そしてどんどん歯が悪くなっていく悪循環に陥ってしまう・・・)

歯を長持ちさせて一生自分の歯で食べれるようにするために、治療をきっちり済ませておくのは当然ですが(これはこれで難しいのですが)、それよりもいかに普段からお手入れをしているか、そしてそれができる状況にその人があるかが大事になってきます。

歯みがきは大事ですが、やっているのとできているのは違います。(自分も含めてですが・・・)

歯石(正確にはバイオフィルムという細菌の塊)は歯みがきではとれないので、定期的に歯科医院を受診して、専用の機械で除去(破壊)する必要があります。

しかし、それはお仕事や子育てなどで忙しい中で歯科医院に来る時間と動機づけがなければ、なかなか実現できないのです。

かかりつけの病院や美容室のように歯科医院に通うのが習慣になっていれば、あとはおまかせでもある程度の目的は達成され、それなりに安定した状態で過ごすことができるでしょう。

 

何かのきっかけで受診された患者さんにいかに知識を伝え、モチベーションを上げて頂くか? 普段のお手入れがいかに健康にとって大事かを少しでも実感して頂けるか? そして、いかに来院しやすいような環境作りを実現するか? をテーマに、今年はいろんな課題に取り組んでいこうと思います。

まだ開院してようやく9ヶ月目でまだまだ行き届かないところもあるかと思いますが、どうぞよろしくお願い致します。