花粉症

堺市北区 新金岡 永山歯科医院 院長の永山です。

 

今年の花粉症はかなりきついですね。

ここ数年はあまり苦しまずにやり過ごしていましたが、今年はどうやらそうはいかない感じです。

 

思い返せば、高校生のときに初めて花粉症を発症したので、かれこれ20年の付き合いになります。

最初の一年は耳鼻科に通って薬をもらって飲みましたがどうもスッキリせず、逆に眠くなったり口が渇いたりする副作用?と思われる症状が気になったので、翌年からはお医者さんに頼らずに自力で病気に慣れていく(体を鍛えていく)方向に切り替えました。

(当時はまだインターネットも今ほどは発達しておらず、免疫学や薬理学などの専門的な知識もなかったため、自分なりに考えて勝手に判断していました。なので、皆さんは決して真似しないで、お医者さんの指示に従って下さいね (^人^) )

その後、大学に入学してバイクに乗り始めて、春のこの時期は吉野~十津川村や大台ヶ原、あるいは高野山~龍神村を頻繁に訪れるようになったので、毎年猛烈な花粉を浴びて、目はショボショボ、鼻水はダラダラ、くしゃみしまくりの状態が繰り返されていました。

しかし、いつしかあまり症状が気にならなくなっていきました。

バイクに乗らなくなって花粉を浴びる量が減ったからなのか、自然の中で体に耐性がついて慣れてしまったからなのかわかりませんが、症状もそれなりで比較的落ち着いていたので、勝手にアレルギーを克服できたかな?と思い込んでいました。

(時期的には免疫学や薬理学を学んだ後ですが、あまり思考回路は変わっていないですね(^^; 一応この頃には、薬の作用機序が対症療法なので、逆に薬に頼る体質になりたくな、と自分なりに考えていました。正しいのか間違っているのかいまだにわからないので、皆さんは参考にされないで下さいね (^人^) )

 

そこに今年の猛烈な花粉が襲いかかってきました。

一説によると、例年の4倍以上の量が飛んでいるみたいですね。

昔に山の中で浴びていた花粉の量と比べて多いのか少ないのかよくわかりませんが、時間が経って免疫の記憶が低下しているからなのか、あるいは歳のせいで体が弱くなっているからなのか、いずれにせよ体が今年の花粉の量に耐えられなくなっていることだけは間違いがなさそうです。

もちろん今回もこれまでと同様に薬には頼らずに乗り切るつもりですが、20年の歳月を経て、体の花粉に対する感受性の変化(アレルギー歴と加齢の積み重ねによる)の影響もあるのかもしれないな、と思いました。

 

ところで、この構図は花粉症に限った話ではなくて、実は虫歯や歯周病といった歯の病気にも当てはまります。

つまり、花粉を細菌、花粉の量を歯磨きやメンテナンスによる口の中の清潔さ(汚れの程度、プラークコントロール)、体の感受性を免疫力(病歴や加齢の影響を受けます)に置き換えてもらうと、理解しやすいかと思います。

花粉症では花粉に対して体が過剰に反応することで目のかゆみや鼻水、くしゃみといった症状が出ますが、虫歯では口の中に常にいる細菌に対して食べ物の中に含まれる砂糖というエサを与えることで、細菌が酸を出して歯が溶けますし、歯周病では歯茎の中に汚れ(歯石、プラーク、バイオフィルム)がたまりすぎると歯茎に炎症が起こって歯を支えている骨が溶けて、歯茎が腫れたり歯が揺れたりする症状が出ます。

(厳密に言うと、虫歯は免疫があまり関与できないので花粉症との比較は不適切なのですが、ここでは細菌が原因で体に悪影響を及ぼすことを強調するために、敢えてこのような書き方をさせて頂きました m(__)m )

今回は免疫学や薬理学などの専門的な説明は省きましたが (これも敢えてですが)、病気が何故起こるか?という原理原則が大まかにでも理解することで、どうすれば良いか?という進むべき方向性も自ずと見えてくるのではないでしょうか?

今後はその辺りをより意識して、患者さんに説明していこうと思いました!(^_^ゞ

 

 

【追記】

ここ数日は花粉症の症状がましになってきて、ピークが過ぎたような気がしています。

(ちなみに僕はスギ花粉のアレルギーで、ヒノキは大丈夫だと「勝手にw」自己分析しています)

最近雨が多いおかげなのか、あるいは体が遅ればせながら鍛えられて慣れてきたのか自分でもよくわかりませんが、今後の成り行きを見ながら検証してみますね!

(いつものように下書きと投稿に時差が発生していますので、数週間前の話だとご理解下さい m(__)m )

プロバイオティクス

堺市北区 新金岡 永山歯科医院 院長の永山です。

 

突然ですが、「プロバイオティクス」という言葉をご存知でしょうか?

以下のサイトに説明があるので、聞いたことのない方は一度ご自身で確認してみて下さい。

プロバイオティクスって何? – 大塚チルド食品 参照

自分なりの解釈としては、特定の食べ物や飲み物に入っている善玉菌を体に取り込むことで、腸内細菌のバランスを善玉菌優勢にして(相対的に悪玉菌を減らして)、体の本来持つ機能(消化、吸収、排便など)を引き出したり免疫力を上昇させたりして、より元気に、そしてより健康になりましょう、みたいな感じです。

具体的に商品で例を挙げると、① 明治プロビオヨーグルトR-1 、② ヤクルト400 、③ 明治プロビオヨーグルトLG21  などがあります。

もしかしたらはすでに飲まれている方もおられるかもしれませんし、その効果を実感されている方もおられるかもしれませんね。

僕はまだ始めたばかりなのでまだ効果は実感できていませんが、大学で研究をしていたこともあって、基本的には何でも鵜呑みにはしないでまずは疑って検証しようとする習慣が身についているので、今後にまた話す機会があれば、自分の体感も含めてお伝えしようと思います。

(商品のホームページを見てみたけれど、細菌の詳しい作用メカニズムまでは記載されていなかったので、盲信は危険ですね。こちらも含めて、また調べてお伝えします m(__)m )

 

でも理屈から考えると、個人的にはこれは起こり得る話だと思っています。

大学で細菌学を専門にされている教授と話したときに教えて頂いた話ですが、「以前は腸内は体の外側だから体内の環境とは関係がないと考えられてきたが、最近の研究では腸内細菌が体内の環境に影響を与えていると捉えられるようになってきていて、それを裏付けるデータも出てきている」と言われていました。

(例えば、胃潰瘍とヘリコバクター・ピロリの関係とか)

消化性潰瘍ガイド – 日本消火器病学会ガイドライン 参照

また、歯科医師会で予防歯科学の教授の講演を聴いたときにも、「子供のうちから口の中をきれいにしておく習慣があると、悪玉菌の増殖がコントロールされて、大人になってから虫歯や歯周病になるリスクを減らすことができる可能性がある」と話されていました。

(例えば、歯周病における Red Complex とか)

歯周病菌とは – 大分県歯科医師会 参照

よく考えてみると、きれいに整理整頓されていてきちんとお掃除されている家の方が、ほったらかしで荒れ放題の空き家よりも傷みが少なくて、修理やリフォームも先に伸ばせて簡単に済ませれることが明らかなのと同じ理屈なので、当たり前と言えば当たり前の話な訳です。

 

これらの話をまとめて皆さんのお口の中に置き換えて考えてみると、定期検診(メンテナンス)による歯石除去(プラークコントロール)がいかに大事であるかがよくわかると思います。

というのも、口の中には腸内とは違って「歯」という細菌が定着することができる足場があり、さらに表面にこびりついた細菌の塊は歯ブラシで磨く程度では擦りとることができず、また抗生物質などの薬も効かなくなることが知られています。

(専門的にはこの細菌の塊の状態を、バイオフィルムと言います)

歯周病はバイオフィルム感染性 – 日吉歯科診療所 参照

つまり、口の中が汚れていて細菌がある程度の量を越えてしまうと、自分で取り除くことができなくなってしまうので、ほったらかしにしていると気づかないうちに虫歯や歯周病が進行してしまい、結果的に歯の寿命を短くしてしまうことになるのです。

これを防ぐには、今のところは歯医者さんで歯石取りやクリーニングをしてもらうしか方法がありません。

逆に言うと、ほったらかしにしていたにもかかわらず、「痛くないようにしてほしい」とか、「歯や神経を抜かないでほしい」とか希望されても、「無理なものは無理です…」としか答えようがないことも、ここまで読んでもらえればわかって頂けると思います。

(実際のところはそうは思ってもそのまま言うことができない場合も多いので、日々頭を悩ませながら診療しています)

また最近は、一通り治療が終わった患者さんでも、ある程度で一旦治療を終えて残った怪しい歯は経過観察している患者さんでも、メンテナンスに通われることでそれなりに維持できることを実感していますし、医療や介護の現場でお仕事をされている患者さんにお話を伺ってみても、みんな「口腔ケアは大切」だと言われていて、認識もかなり広まってきているように感じています。

口腔ケア – 8020推進財団 参照

なので、皆さんにおかれましても、ぜひ「痛くなって困ってから歯医者さんに(嫌々)行く」のではなくて、「悪くならないようにするために歯医者さんに行こう!」というように意識改革を起こして頂いて、ご自身の体はご自身で守る(管理する)という意識を身につけてもらえると、健康には一番良いのではないかと思います。

(僕も今年は40歳で厄年にもなるので、本格的な人間ドックに行くつもりです)

 

では、口の中における「プロバイオティクス」についてはどうなのか?、という疑問を持たれた方もおられるのではないでしょうか?

これに相当する食べ物や飲み物については、昔からリステリンやイソジン(うがい薬でもある)といった洗口液が有名ですが、実はこれらは殺菌・消毒するものであり、結果として善玉菌が優勢になることはあっても善玉菌が成分に含まれている訳ではないので、厳密には「プロバイオティクス」とは言えない部分があります。

また、これらの洗口液ではバイオフィルム状態になった細菌の塊を殺菌したり取り除くことはできず、あくまでも新たに付着してバイオフィルムが成熟していくのを防ぐ程度の効果しか期待できないので、これも盲信は危険です。

最近になって、ラクレッシュという善玉菌を含む正真正銘の「プロバイオティクス」商品も開発されてきているので、今後の検証が楽しみです。

ラクレッシュ – L8020協議会 参照

L8020菌を使用した製品のご案内 – Campus Medico 参照

(個人的には、歯が悪くて困られているご両親がおられるお子さんの虫歯予防に、定期検診やフッ素塗布と組み合わせて使用するのが、最も効果的ではないかと今のところは考えています)

 

以上、難しいことを長々と書いてきましたが、最後まで読んで頂きありがとうございました m(__)m

今回は歯医者さんの目線からお話しましたが、お医者さんの視点から体の健康を考えるなら、食事、運動、睡眠、ストレス、お酒とタバコ… といった「生活習慣」の見直しが必要不可欠になると考えています。

歯科とも関連することが多いトピックばかりなので、またいずれ別の機会にお話しますね。

皆さんの健康に対する意識を変えるきっかけになれば幸いです。

ではまた!