診療方針

診療理念

① 患者さん本位の治療
 患者さんのご希望は様々です。まずは
お困りごとの解決信頼関係の確立に努めます。その上で患者さんの現在のお口の中の状況を説明して十分にお話をした上で納得されてご希望された範囲での治療を行っていきます。もちろんご家庭やお仕事などのご都合には極力配慮して患者さんひとりひとりに対応するように心がけていますので、気になることがあれば遠慮せずに何でも言って頂ければと思います。

② 専門性の高い治療
 大学病院で長く診療した経験を活かし、安心できる歯科医療を提供します。具体的には、科学的根拠に基づいた治療(Evidence Based Medicine)、説明と同意(Informed Concent)、最小限の侵襲(Minimum Intervation)といった、今まで専門外来で実践してきた基本に忠実なコンセプトをまもり、確実かつ丁寧な治療を心がけます。また、当院では小児歯科専門医(女医、非常勤)も在籍しておりますので、お子様についても専門性の高い治療が提供できます。

③ 長持ちする治療
 治療の精度をできるだけ高めて再び悪化しにくい状況を作っていくとともに、新たに治療が必要にならないように管理していくことを目指します。そのためには、歯みがきや歯石取りといったよくある虫歯や歯周病の予防だけでは不十分で、患者さんの全身状態や生活習慣、咬み合わせなど多くの要素を含めた
生活習慣病としての捉え方やトータルでの対応が重要になってきます。経験的には、治療が終了した後も定期的なメンテナンスを継続されている方はご自身の状況を理解されているので自己管理もしっかりしていることが多く、たとえ問題が起こったとしても重症化する前に早期発見・早期治療ができ、比較的安定した状態を長期に維持されていることが多いと感じています当院では歯を残すことだけを目標とせず、
患者さんが歯や口のことで困らず一生自分の歯で食事ができ、健康で快適な生活が送れるようになるためのサポートができればと考えています。

診療方針

一般歯科
なるべく削らない、歯や神経を抜かない治療を実践します。
 
歯は削れば削るほど、また神経を抜くと寿命が短くなります。虫歯の治療は抜歯に至るまでに多くても4,5回が限度(神経を抜くまでに2,3回、根の治療のやり直しの成功率は約60-70%)であり、何らかの問題を抱えている場合(それでも症状がないと自分ではわからない)はもっと早く抜歯に至ってしまうこともあります。したがって、治療の際は歯が受けているダメージを正確に評価することが大事で、最適かつ質の高い治療を行うことで、できるだけ抜歯に向かわないように、やり直しがないように、そして結果的に長持ちすることを目指します。院長の専門分野(歯科保存学)なので、特に豊富な知識、技術、経験をもって的確に治療に当たれると思います

症例1 歯質の保存

 歯と歯の間に小さく穴があいていますが、自覚症状はありませんでした。虫歯の部分 “のみ” を丁寧に取り除き、レジン(樹脂)で詰めました。小さな虫歯であればできるだけ削らずに患者さんご自身の歯を残して、金属にならないように心がけています。

症例2 神経の保存

 奥歯が冷たいものでしみるという訴えでしたが、実は親知らずが残存していて歯みがきができないため、手前の歯が虫歯になっていました。左は通常のレントゲン、真ん中はCTです。CTでは歯の中にある神経にかなり近くまで進行している虫歯がはっきりとわかります。親知らずを抜いた上で、IPC法という2段階に分けて虫歯を丁寧に取り除く方法を用いて、無事神経を取らずに治療を終了することができました

症例3 歯根の保存 ①

 虫歯が歯茎の奥深くまで進行し、通常なら抜歯という状況です。残った根をゴムで引っ張り上げてから手術で歯を歯茎の中から出します。被せ物が入り、無事歯を抜かずに残すことができました

症例4 歯根の保存 ②

 根が折れて痛みが出てきたので、2本ある根のうちの割れている根だけを抜歯して、割れていない方の根を残してブリッジで咬めるようにしました。現在まで問題なく機能しています(2017年)。


歯をできるだけ残しながら、よりきれいに治すことも可能です(白い歯)
 最近は見た目を気にされたりアレルギーへの配慮のため、欧米などの先進国ではなるべく金属を使わない方法での治療が当り前になってきています。セラミックは見た目が自然できれいなのは当然ですが、プラーク(お口の中に常在する虫歯や歯周病の原因菌の塊)が着きにくく、お手入れをしっかりしていれば虫歯が再発しにくいというメリットもあります。自由診療にはなりますが、価値がわかる方にはとても良い治療法だと思います。

症例5 白い詰め物

 レジン(樹脂)が劣化してきて見た目が気になるということで、セラミックでやり直しました。自分の歯をできるだけ残しながらきれいに治すことができました

症例6 白い被せ物(奥歯)

 一見するとどの歯を被せたかわからない仕上がりです。下の歯はかなり以前に被せた白い歯ですが、現在までに歯を作る技術や材料が進歩していることがよくわかると思います(見た目は古くはなりましたが、咬むのには全く支障がなく長持ちしています)。土台も歯が折れにくいファイバーコアを使用しており、できるだけ長持ちするように配慮しています

症例7 白い被せ物(前歯)

 以前に被せた前歯が傷んできたので、やり直しをすることになりました。患者さんの希望に合わせて技工士さんに歯の形を微調整してもらって、自然感のある仕上がりの被せ物を装着することができました。メタルフリーの材料を選択したので、手術はしていませんが歯茎の黒ずみもきれいになくなっています。

症例8 ホワイトニング

 怪我で前歯を打撲して神経が死んでしまい、なかなか痛みが取れない上に黒く変色してきたのが気になるという訴えでした。根の治療で傷を落ち着けてから歯の内側にお薬を入れて歯を白くしました。歯を削って被せることなく自分の歯を残して治すことができました


歯周病や咬み合わせの治療にも積極的に取り組んでいます。
 歯を残し長期に安定した状態を作り上げそして維持していくには、歯周病や咬み合わせへの対応が必須です。それには治療回数や期間がかかるため、患者さんご自身の頑張り(根気?)が必要になってきます。治療は程度に応じて様々な選択肢がありますが、まずはご自身の状況を知って頂き、なぜ治療が必要なのか?
なぜ歯を磨かないといけないのか?をご理解して頂いた上で、スタッフ(歯科医師、歯科衛生士)と一緒に治療に取り組んでいきます。ご希望の方には審美歯科やインプラントといった高度な治療を提供することも可能なので、まずは気軽にご相談頂ければと思います。

症例9 インプラント

 継続してメンテナンスを行ってきましたが、残念ながら歯周病が進行してしまい腫れを繰り返すようになりました。左と比べると真ん中の写真では骨が溶けてなくなっているのがわかると思います。抜歯して骨を造ってインプラントに置き換えました。両隣りの歯を犠牲にすることなく何でも不安なく咬めるようになりました

症例10 部分入れ歯

 
入れ歯を支える奥歯に虫歯が進行し、また前歯の差し歯の歯茎の中で歯周病が進んで骨が溶けて歯が少し揺れてきている状態だったので、悪い歯は抜いてしまい、残せる歯は歯周病の治療を行った上で(基礎工事)、全体的に差し歯と入れ歯のやり直しをしてしっかり咬めるように治療しました。治療が終了して数年が経ちますが、「何でも食べれるし胃腸の調子も良くなって、見た目も全然老化が進まないしとても快調です」と言われて喜んでおられます。

※ 以前の職場で治療した患者さんですが、現在も定期的にメンテナンスにも来られています。歯ブラシと歯間ブラシの使い方を少しずつ覚えていかれて、今は歯みがきをしても出血しないひきしまった歯茎を維持できるほどに自己管理されています。タバコも長年吸われていましたが、健康のためにと思い立たれて1日5本まで減らされました。健康管理の大切さ(意識改革→行動変容)を教わっている症例です。(2018年4月)

症例11 総入れ歯

 咬めない、すぐ外れるとのことで総入れ歯を作り直しました。しっかり咬めることで口元も若々しくなりました。胃腸(消化と栄養吸収)や脳(認知症の予防)といった全身の健康にも良い影響があることが最近になってわかってきています

症例12 総合治療


 虫歯、歯周病、咬み合わせの問題が複雑に絡み合う、難しいケースでした。治療が一通り終わるまで2年半ほどかかりましたが、根気よく通ってくださったので、何とか建て直すことができました。見た目の回復はもちろんですが、食べられるようになって明らかに太られました。食べることと健康のつながりを実感させてもらった症例です。

※ 介護施設に勤務されている看護士さんから伺った話ですが、通所されている方の中でも自分の歯が残っている方は、お肉をしっかり食べることができてお元気なことが多いそうです。このような現場での実感は、医院ではなかなか知ることができないので、とても勉強になりました。(2018年4月)

※ ご本人から伺った話ですが、かかりつけの内科での血液検査の数値が改善したそうです。先生曰く、「薬も変えていないし、歯が良くなったからとしか考えられない」とのこと。食事の種類や量自体は変えていないそうなので、おそらくしっかり咬めるようになったことで、消化と栄養吸収の効率が良くなったからではないかと推測されます。まだまだ未解明な部分も多いですが、実績を積み重ねていくことで、近年高齢者で問題視されている「口腔機能低下症」の治療と予防に貢献できればと思いました。(2018年9月)


予防を重視し、虫歯や歯周病を新たに作らないことにも力を入れています。
 歯は一度虫歯で溶けると自然に再生することはありませんし、歯周病で歯が抜けた場合ももう一度きれいな歯が生えてくることはありません。残念ながら歯の治療のほとんどは元に戻る治療ではなくただ修理(再建)しているに過ぎませんし、材料に寿命があるためいつかはまた壊れる運命にあります。一方で、適切に管理を行えば虫歯や歯周病の発生率を劇的に抑えることができることはすでに研究により証明されていますし、何より自分の生まれもった歯が最高の材質なのですから、それを大切に使わずに失ってしまうのはとても “もったいない” ことです。
歯医者さんは痛くなってから行くところではなく悪くならないようにするために行くところ、という意識を持ってもらえるように、スタッフ全員で努力しています

症例13 歯石除去&クリーニング

 歯科医院に来るのはかなり久しぶりということで、全体的に歯石やヤニがべったりついていて、歯茎から膿が出たり数カ所の歯に痛みのある状態でした(上図)。数回に分けて歯みがきのポイントをお伝えしながら歯の表面を専用の器具で磨いたり歯茎の中まで丁寧に歯石除去をしていくと、見違えるようにきれいな状態になりました(下図)。

※ 最近は口の中が汚れて菌が増殖した状態(歯周病)だと、特に高齢者で飲み込むことがうまくできなくなった場合に肺炎になることが病院や介護の現場で問題になっています。他にも心臓や脳、糖尿病、出産など全身の健康に影響することもわかってきているので、いつまでも健康で元気でいるためには、自分の歯を良い状態で残して何でもしっかり食べれるようにしておくことがとても大切です

小児歯
 押さえつけて無理やり削ったりはせず、
お子様が歯医者さんに対して恐怖心を持たないように保護者の方と一緒に配慮しながら、段階的に治療を進めていきます。お子様がひとりで治療を受けれるようになったらスムーズに進むことが多いのでひと安心です。さらに、お子様が虫歯にならないように予防するためには、フッ素塗布やシーラントといった歯科医院での対応はもちろん、ご家庭においても適切な管理が必要なので、保護者の方にも歯みがきや食生活などのアドバイスをしながら、適宜ご協力をお願いしていきます。最終的には虫歯のない整った永久歯列を育成することが目標です。

③ 矯正歯科、口腔外科
 部分的な歯の移動や簡単な親知らずの抜歯、顎関節症、歯や口の怪我などはできる範囲で対応しますので、まずはご相談下さい。当院で対応できない症例については、
信頼できる専門医(矯正歯科)大阪労災病院(歯科口腔外科)にご紹介します

治療の流れ

① 初診
 まず待合室で問診票に必要事項を記入して頂きます。お困りごとの聞きとり、全身状態の把握、生活習慣の確認、治療に対するご希望などをお伺いします。
 次に、診察室に入って頂きます。簡単にごあいさつさせて頂き、問診票で気になる事項について確認します。このときにできるだけお話をしてもらうと相互理解が深まりスムーズに治療に入っていけると思います
  そしていよいよ治療開始です。痛みや腫れが強くて緊急性を要する方は、まず必要な応急処置を受けて頂きます。大学病院の専門外来や夜間救急での経験も豊富なので、的確な治療を受けてもらえると思います。痛みがない場合は、虫歯や歯周病の検査を行い、お口の中の状況や必要と思われる治療についてわかりやすく説明します(時間が十分にとれなかった場合や応急処置の方は次回以降になります)。



② 2回目

 前回に応急処置を受けられた場合は、その後の経過の確認と引き続きの治療を受けて頂きます。経験的には2回目の治療までである程度痛みや腫れは治まると思います。症状が落ち着き次第、検査と説明を行い、通常の治療に入っていきます。

この段階で一度、予防歯科の説明(メンテナンスの意義)、クリーニング(歯石取り、歯面研磨、歯磨き指導など)を行っています。歯を長持ちさせていくには、「痛くなったら歯医者さんに行く」という患者さんの意識を変えることが一番大事だと感じているからです。ご理解の程、よろしくお願い致します。

③ 3回目以降
 患者さんのご希望やご都合に配慮しながら、どんどん治療を進めていきます。(必要な場合はその都度説明したりお話する時間を取りますのでご安心下さい)
 虫歯や歯周病が進行している場合は、根(神経)の治療や歯茎の中の歯石取りが必要になるので、治療回数がかかります。これは家を建てるときの基礎工事に相当する治療なので、決して手抜きができない大事な工程になります。咬み合わせが崩壊している場合は、応急的に咬めるように仮歯や入れ歯を先に作ったりする場合もあります。基礎工事が終わったら被せ物や入れ歯(あるいはインプラント)を順次入れていき、しっかり咬める状況を作っていきます。
 一方、
虫歯や歯周病が軽度の場合はできるだけ最小限の保存的な治療を行います。いずれの場合も治療の途中で歯みがきや生活習慣の指導を適宜入れていき、将来にわたって病気の進行や再発を予防できるように配慮しながら進めていきます。

④ メンテナンス
 治療が一通り終了したら定期健診です。毎回、歯みがきの状態や全身状態、生活習慣、虫歯や歯周病、咬み合わせのチェックを行った上で、時間をかけて丁寧に歯みがきや歯石取りを行います。患者さんによってお口の状態や生活環境は様々なので、その方のリスクやライフスタイルに合わせたお手入れの方法や受診期間をお伝えするようにしています。